Dawn of the Equinox

うふうさぎの蚤の市

春分の朝。

星空庭園には
まだ夜の名残が静かに漂っていました。

空は
完全な朝でもなく、完全な夜でもない。

そのあいだのやわらかな色。

ルーは
小さく息をついて
椎の木の下に座っていました。

「今日は、少しちがうね」

風がそう答えるように
やさしく葉を揺らします。

昼と夜が同じになる日。

光と闇が
ひとつに溶け合う日。

がんばってきたことも
うまくいかなかったことも

どちらも同じように
ルーのそばに並んでいました。

「どっちも、ここにいていいんだね」

ルーがそうつぶやくと
庭の奥で
小さな光がひとつ灯りました。

それは
新しい扉。

でも、
急いで開ける必要はありません。

ただ、
そこにあることを知るだけでいい。

ルーは立ち上がらず
その光を少しだけ見つめました。

そして、そっと目を閉じます。

「これから、どんな風に歩いていこう」

答えはまだなくていい。

ただ、心の奥に
小さなはじまりの気配だけを感じながら——

星空庭園は
ゆっくりと、新しい季節へと移りはじめました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました